6月1日から新たに「司法取引」制度が始まります。
司法取引とはどのようなものか。日本版司法取引とは?アメリカとどう違うのか。
また日本版司法取引では冤罪のリスクがあるとはどういうことか?などについて調べてみました。
司法取引とは何?
6月1日から日本版の「司法取引」が始まります。政府名称は、合意制度。
司法取引とは、
「容疑者や被告が共犯者など他人の犯罪の捜査に協力したり明らかにすれば、検察が見返りとして起訴を見送ったり求刑を軽くしたりする制度」です。
虚偽供述で無関係の人が巻き込まれる懸念もあり、最高検は裏付け捜査の徹底など慎重な運用方針を示しています。
司法取引が対象となる犯罪は、贈収賄や詐欺、脱税などの経済事件や薬物銃器事件などに限られています。
検察官が許可すれば、警察官も関与できるとのこと。
虚偽供述や偽造証拠の提出には5年以下の懲役が科されます。
これは、自分の犯罪行為に関する情報ではなく、他人の犯罪解明につながる情報に対し見返りと与えるのが特徴。
取引をする場合は、
検察官は弁護士を同席のもと、容疑者らと協議します。
容疑者や被告の弁護士が協議の段階から関与し同意する必要があるということですね。
捜査協力と見返りの内容が双方で合意すれば成立するというもの。
司法取引を行った場合の事実の公表義務はありませんが、捜査協力で起訴された他人の公判に協力した容疑者らが証人出廷するなどすれば、明らかになる可能性はあります。
ちなみに司法取引と同時に、裁判所が証人に対し、罪に問われかねない発言をしても免責することを約束した上で、証言を強いることができる制度も開始されます。
逮捕後の拘留段階から、国選弁護人をつけられる事件も、重大事件から全事件に拡大されました。
日本版司法取引とは?アメリカの内容は?
「司法取引」は、容疑者や被告が共犯者など他人の犯罪の捜査に協力すれば検察が見返りとして起訴を見送ったり求刑を軽くしたりする制度です。
これはアメリカなど海外では広く使われている捜査手法とのこと。
司法取引には2種類あります。
自らの罪を認めることで刑を軽くして貰う「自己負罪型」と、
自分が罪を犯したとき、共犯者に対する捜査に協力することの引き換えに罪を軽減してもらう「捜査公判協力型」です。
アメリカでは、司法の効率化のために全事件の95%が「自己負罪型」の司法取引によって実際には裁判を経ずに刑罰を決定されています。
「自己負罪型」の司法取引も裁判を通じて証拠を確認するプロセスが省かれるため、冤罪や身代わりのリスクはありますが、同時にその経済効果は絶大。
警察や検察は軽妙な事件の大半を自己負罪型の司法取引で処理することで、重大事件の捜査により多くの資源を投入することが可能になるというメリットがあります。
ですがすでに導入済みの米国などの仕組みと異なり、「日本版司法取引」と呼ばれています。
今回日本で導入される司法取引は「捜査公判協力型」のみです。
これは、簡単に言えば
「仲間(共犯者)を裏切ってその犯罪行為を証言すれば、あなたの刑は軽くしてあげます」というものですね。
日本版司法取引では冤罪のリスクが大きくなる?
日本で司法取引が導入されれば、冤罪のリスクが大きくなることが明白だということです。
日米の「司法取引」の違いは、
・アメリカは容疑者や被告が自分の罪を認めれば、検察側が求刑を軽くする
というものですが
・日本では容疑者や被告が「他人の罪を明らかにする」と捜査協力をすると、検察側が求刑を軽くする
というものです。つまり他人の罪を話せば、自分の罪が軽くなるというものですので、
自らの罪を軽くしたい一心で、嘘の証言をする人が出てくることが避けられないからだということ。
今回の法改正では、
虚偽供述を罰する条文も盛り込まれたのですが、明らかに嘘と分かる証言でない限り、証言の虚偽性を暴くことは容易ではありません。
そもそも検察が司法取引を持ちかける理由は、共犯者からの証言以外の証拠が得られないからです。
他に十分な証拠があれば、共犯者の罪を軽くしてまで司法取引をする必要がないはずですから。
日本版司法取引とは、取引きの当人は
「嘘で他人を陥れてでも自分の罪を軽くしたい」
という明白な利益相反の立場にあります。
にもかかわらず、その証言は共犯者の犯行の唯一の裏付けとなる場合が多いので、いたって不安定な制度ということなのです。
ということで、司法取引とは何?簡単に分かりやすく説明!について調べてみた件でした。
司法取引の導入によって日本の刑事司法はどう変わるのでしょうか。